統合失調症

統合失調症とは?

「統合失調症」とは、妄想や幻覚などの症状を示す精神疾患のことです。
日本では、明治時代に、ドイツ語の「Schizophrenie」を「精神分裂病」と訳したことから、その名が広がりました。
しかし、「精神分裂病」という言葉は差別化される傾向があったため、2002年以降、「統合失調症」に名称が変えられました。
統合失調症は古代ギリシャ時代から存在していましたが、発病の原因は未だ不明といわれています。
神経伝達物質である、ドーパミンの過剰が原因、という説もありますが、他にもさまざまな仮説が唱えられています。
治療法としては、1950年代に、フランスで「クロルプロマジン」という薬物が一部の患者に効果があり、これを機に、抗精神病薬の薬物治療法が、広く行われるようになっていきました。
そして、1990年代後半からは、非定型抗精神病薬が、統合失調症の急性期の効果的な治療として、多く使用されるようになりました。
また、統合失調症患者の社会復帰を支援するために、福祉制度が整えられるようになり、以前よりも、患者の入院期間が短縮されるようになりました。
とはいえ、薬物療法が部分的にしか効かない患者や、病気が慢性化している患者が居ることも事実です。

統合失調症の歴史

統合失調症は、1852年、フランスの精神科医モレルによって、初めて公式に記述され、当時はフランス語で「早発性痴呆」と呼ばれました。
続いて、1871年、ドイツのヘッカーが「破瓜病」を著します。
1874年には、ドイツのカールバウムが「緊張病」を著し、1899年には、ドイツのエミール・クレペリンが、ドイツ語で「早発性痴呆」を著し、「破瓜病」、「緊張病」に「妄想病」を加えた形でまとめました。
そして、1911年には、スイスの精神医学者オイゲン・ブロイラーが、「早発性痴呆」をドイツ語で「精神分裂病」に改名しました。
日本では、1937年に、日本精神神経学会の精神病学用語統一委員会が、日本語訳を「精神分裂病」とする試案を提出しました。
それまでは、「精神内界失調疾患」、「精神解離症」、「精神分離症」、「精神分裂症」など、さまざまな訳語が使用されていました。
しかし、「精神分裂病」という名称は、精神そのものが分裂しているという悪いイメージがあるため、患者の人格否定や、誤解、差別などを生み出すことから、2002年8月、「統合失調症」に改名されました。

統合失調症の種類

統合失調症には、いろいろな種類があります。
中でも主なものを次に挙げていきます。
「妄想型」は、妄想や幻覚が症状の中心で、解体した言動が乏しいのが特徴です。
また、30歳代以降に発症することが多く、統合失調症の中で最も多い種類といわれています。
「破瓜型」は、思春期前半に発症することが多いといわれています。
まとまりのない思考や行動が症状の中心ですが、症状が激しくない場合もあります。
また、未治療の場合、周囲に関心を持たず、不活発になり、外部とも接触しなくなります。
そして、予後は一般的に悪いといわれています。
「緊張型」は、興奮や昏迷などの症状が中心で、同じ動作を繰り返すことが特徴ですが、「妄想型」や「破瓜型」に比べると、発症患者はあまり多くありません。
「統合失調症後抑うつ」は、統合失調症の急性期の後に発症することが多く、自殺などを招くことがあります。
治療法は、「うつ病」とほぼ同じです。
「単純型」は陰性症状が強く現れ、陽性症状は、ほとんど見られません。
症状は「破瓜型」に似ていますが、自我意識の喪失が無いことが「破瓜型」と異なります。

統合失調症の原因

一卵性双生児の研究において、一致率が高いことなどから、統合失調症発症の原因は、遺伝的要因と環境要因が関係しているといわれています。
しかし、実際のところ、原因は未だ不明です。
統合失調症発症の原因仮説には、主に次のものがあります。
「ドーパミン仮説」は、中脳辺縁系におけるドーパミンの過剰が、幻覚や妄想などの陽性症状に関係しているという仮説のことです。
「グルタミン酸仮説」は、麻酔薬として開発され、のちに精神異常の副作用のため、使用が断念された「フェンサイクリジン」を投与すると、統合失調症の陽性症状や、陰性症状がみられたことなどから、グルタミン酸受容体の異常が関係しているという仮説です。
「発達障害仮説」は、統合失調症の初期発症患者は、脳の容積が一部低下していたり、死後、脳の構造異常が見られたりする例があることから、脳の発達段階での障害が関係しているという仮説です。
その他にも、「ウイルス説」、「前頭葉機能の低下仮説」など、さまざまな仮説が唱えられています。
また、妊娠初期にインフルエンザに罹ると、生まれてくる子どもが統合失調症になる確率が3倍になる、という研究結果も出ています。